滋賀彦根新聞社とエフエムひこねコミュニティ放送は、滋賀県知事になった三日月大造氏(43)にインタビューを行った。同氏は「包容力、決断力、実行力のある知事になれるよう努力したい。県職員や県民の皆さまと一緒にやろうという思いでいる」と抱負を語った(以下、質問に対する三日月氏の回答)。 経済振興「選挙の期間中、消費税率の引き上げや燃料費高騰の影響を受けた中小企業の皆さまの声をたくさん頂いた。県内企業の経営状況をつぶさに把握しながら、融資制度や事業展開、販売促進などに繋がる政策について迅速に対応をしたい。人材確保に苦しんでいる事業者もあるため、早急に支援を行いたい」。
新幹線新駅「滋賀は交通の要所として栄えてきた。鉄道・高速道路・国道の幹線交通と、公共交通という滋賀の交通力を改善することで、経済対策や生活・福祉を良くできる。米原・京都間の新幹線新駅については、必要か不必要か、またはどこに、どのように設置するのか、県民の皆さまと議論をしていきたい」。
福井県の高浜・大飯原発が再稼働に向けて動き出している原発政策「エネルギー政策は滋賀だけで変えられるものではなく、国の基幹政策だ」とした上で「3・11(東日本大震災による福島原発の被災)の教訓は万が一に事故が起こった時、影響を受ける地域への対策が必要だということ。避難体制、安全対策の確認などをどこまで行うかが極めて重要。国の原子力規制委員会は人事の面、基準の面で国民の不安に応えられる組織ではないと思っている。規制委員会が評価を下したとしても、地域住民の納得が得られるのかが今後の重要な課題になる。滋賀県として福井の原発については、万が一事故が起こった時に被害を受ける『被害地元』としての声を国、電力会社にしっかりと届けていく。滋賀県民、とりわけ高島や長浜の市民の皆さまへの安全対策が十分でないのならば、再稼働するべきではない」。 県北部振興「彦根、長浜を中心にした湖東湖北は個性的な地域で、将来伸びる可能性がある。自然豊かで、歴史的な遺産もたくさんあり、それらをまとめてPRする役割を果たしたい。北陸圏、中部圏、近畿圏の結節点という地の利を生かしたい。県職員からは関西広域連合という枠組みの言葉は何度も出てくるが、三重や愛知、福井とのつながりが希薄なので、各県との繋がりを作っていく」。
平成36年に滋賀県内で開催される国体に向けた整備「6年後に東京五輪・パラリンピックがあり、その前年にはワールドカップラグビーがあるため、そのキャンプ地の誘致が行われる。この10年でスポーツと文化で滋賀を盛り上げることは夢のあるプロジェクトだ。メイン会場の整備、周辺の道路の整備が必要で、宿泊施設も足りない。この10年は長いようで短い」。
彦根城の世界遺産「彦根城は市民の皆さまが誇りに思っている。県としても彦根市とタイアップしながら前に進めたい。彦根城単体で申請するのも良いが、もう少し広げて琵琶湖を中心にして、そこと関わる城や史跡も含めて前に進むのであれば、広域観光の面からも良いのではないか」。
観光振興「彦根や長浜はある意味で危機感を持って、停留人口のみならず、流入・滞在人口を増やす努力をされてきた先進地。彦根・長浜がもつ魅力を東京で発信する拠点を確保する。行政だけでなく、旅行代理店、高速道路会社、飛行機会社との連携を強化し、例えば(JRと自治体などが連携し実施する)デスティネーションキャンペーンを行いたい」。
最後に三日月氏は「滋賀県は人口が増加しているが、今後は人口減少局面に入ってくる。その局面を打開していく、改善できるきざしが感じられるような4年間にしたい」と語った。