見た目ではわからない難病の発症者や障害者への配慮を求める「ヘルプマーク」を全国の対象者に配送する作業が、先月から彦根市大藪町の介護施設「地域交流センターおひさま」で行われている。
ヘルプマークは赤地に十字とハートが白色で記されており、難病、精神障害、目・耳・言語の障害、義足や人工関節、認知症、妊娠初期など日常生活で支援が必要な人が所持している。東京都が平成24年から導入し、全国の自治体でも役場や地下鉄構内などで無料配布されている。対象者の氏名、連絡先、病名、手伝ってほしいこと、かかりつけの病院などを記入する「ヘルプカード」と合わせて全国的な広がりを見せている。
一方で、白血病や特発性大腿骨骨頭壊死症を発症し、5年前には心不全の診断を受けた音瀬伊都子(いつこ)さん(45)=彦根市本町=によると、ヘルプマークの生産が追いつかずにインターネットを通して転売されたり、さまざまな症状や精神状態で配布場所に取りに行けないなどの課題がある。
ヘルプマークの普及と啓発活動をしている団体「全国ヘルプマークオリパラプロジェクト」は、スイスの製薬メーカーの補助を得て独自のヘルプマークとヘルプカードを作り、全国の対象者5000人に郵送で無償配布する。先月18日から「おひさま」で障害者たちが梱包作業をしており、今月5日時点で2000セットの配送準備を終えている。
音瀬さんは「ヘルプマークを入手できない難病などの当事者に届けて、配慮し合える優しい社会になってほしい」と話していた。問い合わせは音瀬さん☎090(1484)1650。