衆院選は14日、投開票され、滋賀2区は自民党前職の上野賢一郎氏(49)が6万5102票を獲得。民主党元職の田島一成氏(52)、共産党新人の中川睦子氏(56)を破り、3選目を果たした。田島氏は5万4095票を獲得し比例で復活当選して4選目。 選挙戦は序盤から上野氏が優勢で、アベノミクスの継続による地方経済の再生を訴え、中盤にかけての報道機関の世論調査でも優勢が伝えられた。しかし、終盤戦にかけて相手陣営に女性の議員や元知事らが応援に駆けつけ、差をつめられたため、滋賀3区や4区のように投票終了時間と同時の当確にはならなかった。
当確の報せ後、上野氏は彦根事務所で時折笑顔を見せながらも堅い表情で「厳しい戦いだったが、地方の再生なくして日本の再生はないことを訴えた」と振り返り「彦根が主会場になる国体に向けた整備を進めるため、しっかりと後押しができるように努めていきたい」「3選目の新しいスタートを切るが、地元の各地域を回りながら、皆さんのお考えを国会へつなげる仕事をしていきたい」と決意を新たにした。 一方の田島氏は序盤から劣勢が伝えられていたが「有権者からの反応は世論調査と違って良い」との陣営幹部の声の通り、日に日に票を伸ばしていった。中盤から終盤にかけては嘉田由紀子元知事や元タレントの蓮舫参院議員、細野豪志衆院議員らが応援に駆けつけて猛烈な追い上げを見せ、近畿比例の獲得議席4のうち3番目の惜敗率(83・093%)で復活当選を果たす健闘ぶりだった。
田島氏は、選挙では「思った以上にアベノミクスに対する批判を、農家を中心に感じた」と述べ「この2年間の自民党政治は都会の金持ち優遇で地方に目を向けていない。野党として政権を批判するだけでなく、地方に光を当てる対案を示したい」と抱負を語った。
中川氏は安倍政権への反対姿勢を示したが、支持を伸ばせなかった。
投票率は滋賀県全体で53・79%(前回61・76)。彦根市は50・73%(同57・29)と県内13市でまたも最下位に終わり、市選管の担当者からは「がんばったつもりなのですが・・・一歩一歩ですね」と落胆の声が聞かれた。市町全体では愛荘町が48・64%(同56・03)と唯一50%を割った。
有権者のうち14日に投票した市民の割合が悪かった投票所は、人権・福祉交流会館(27・98)、旭森小学校体育館(30・96)、ひこね燦ぱれす(30・96)、野良田公会堂(31・46)の順。良かったのは肥田町公民館(52・56)、稲里会館(50・68)、新海町さざなみホール(48・13)、グリーンピアひこね(47・43)だった。ただ、この数値は期日前投票に行った有権者が含まれていないため、いずれも上回っている可能性がある。
期日前投票をした有権者は1万0893人で、前回の7092人より増えた。そのうち今夏の知事選から導入しているビバシティでの期日間投票は3828人だった。
※【解説】
上野氏圧勝かと思われていた滋賀2区だが、予想以上に田島氏が終盤追い上げを見せ、比例で復活当選を果たした。
2人の獲得数を2区内の市町別に見ると、上野氏は彦根以外の市町すべてで勝利しているが、彦根では上野氏1万8998票、田島氏2万0403票と1405票差で上野氏が負けている。ちなみに約2万票差をつけて勝利した2年目の前回も彦根では709票差で敗れている。
今回は全体で約1万票差で、前回より約1万票縮まり、彦根での差も同様に2倍の違いが出ている。
田島氏は市議から県議、そして国会議員へと上りつめた彦根生え抜きの政治家であり「民主党は嫌いだが、田島は応援する」という市民も少なくない。
排他的でヨソ者に厳しい市民性や自民党の組織の脆弱さも要因にあるが、彦根という牙城を崩さない限り、上野氏にとっては今後の選挙でも厳しい戦いになるだろう。
彦根を含めた地元のために何をするか、上野氏と田島氏には切磋琢磨しながら国政を担って頂きたい共に、我々有権者はしっかりと見守っていきたい。 【山田貴之】