宮前さんは石川県珠洲市出身。子どものころから陸上競技をはじめ、バレーボールやソフトボールで県大会や北信越大会に代表として出場するなどスポーツが得意だった。夫の仕事の都合で30歳の時に彦根に移住して以降、夫が経営する会社の社員食堂などを手伝ってきた。
退職する60歳の時に文化プラザで開かれた落合恵子さんの講演に感銘を受け「これからは好きなことをしていこう」と決意。ヨガや習字を習い始めたほか、その年の滋賀県マスターズ陸上競技選手権に出場し100㍍で県記録を出した。
以降、県大会をはじめ、近畿大会、全国大会、アジア大会、世界大会に100㍍、200㍍、砲丸投げで出場し、各大会で金から銅までのメダルを獲得。各種目の県記録を打ち出すなど、マスターズの陸上競技界では有名人になっている。今年5月にシンガポールで行われたアジア大会ではメンバーが足りなかったため55~59歳の部の4×100㍍に出場して3位となり、表彰式では現地の係員から「並ぶ場所が違いますよ」と指摘されたエピソードを笑顔で話していた。
8月21日に甲賀市陸上競技場で行われる滋賀大会には円盤投げにも初挑戦する予定。今後の夢について宮前さんは「90歳までは走り続け、マスターズ陸上競技選手権に出場し続けたい。そのために忍耐と努力でトレーニングをしていきたい」と話していた。