滋賀県議選挙の投票が12日に行われ、彦根・犬上選挙区では自民党推薦の大野和三郎氏(59)=豊郷町高野瀬=が1万0920票を獲得しトップ当選。民主党公認の中沢啓子氏(56)=中央町、自民党公認の細江正人氏(68)=本町、自民党公認の西村久子氏(71)=甲崎町=も当選した。民主党公認の江畑弥八郎氏(60)=八坂町=と共産党公認の中川睦子氏(57)=日夏町=は落選した。
中沢氏は国体に向けた準備、少子高齢化対策など幅広い政策を語り、彦根でトップとなる8803票を得た。またNPOの団体で活動している多賀でも640票を獲得した。
細江氏は、市内の都市計画道路の進展やインフラ整備、健康寿命を伸ばす福祉問題を唱え、一部が大野氏に流れたものの、彦根の保守層や高齢者からの支持を得た。
西村氏は稲枝駅前開発や農業振興などで稲枝地区を固めたほか、子育て政策や中京地方との連携の必要性を訴えて、一部の河瀬以北からも支持を得た。
江畑氏は難病や認知症対策などの実績と、アベノミクスや安倍政権の保守的な政策の批判を展開。中川氏も原発廃止や安倍政権を非難する主張をしたが、いずれも支持を広めることはできなかった。
彦根でトップになった中沢氏の選挙事務所(銀座町)では、NHKで当確が出された午後10時半過ぎ、支援者らの拍手でわき上がる中、中沢氏が登場し、握手しながら登壇。「子どもから高齢者までが安心して暮らせる滋賀を皆さんと一緒につくっていきたい」と抱負を述べた。
※【分析】
大野氏がトップ当選を果たした理由は、やはり犬上郡出身で、犬上の6割以上を獲得した地の利が大きい。また彦根市内でも昨年から事務所を設けるなど着々と準備を進め、集会では会場を満員にさせる動員力を見せつけた。ただ、彦根での獲得数は3831票と最下位であり、中沢氏や細江氏の半分以下である。これは、まだまだ豊郷町長時代の旧豊郷小学校を巡る問題に対する彦根市民の「アレルギー」があると言える。また政治手法に対しては「強引過ぎる」との評判が市民の間にも広まっており、大野氏にはイメージ払拭に向けた謙虚な姿勢が求められる。
さて、今回の彦根・犬上選挙区の焦点は西村氏か江畑氏か、どちらが4番手に入り込むかの争いだった。マスコミの間では選挙戦終盤から投票日にかけて、その差が数ポイントと言われ、結局350票差で西村氏が勝利した。西村氏が地盤の稲枝地区を固めた一方、江畑氏は市北部で知名度が低く、また有権者の民主党への厳しい目が依然残っていることが差に表れた。【山田貴之】
当日の彦根の有権者数は8万7822人、投票者数が3万8902人で、投票率が44・30%と前回の41・72%から上昇したが、草津市(39・42)、愛荘町(43・77)、東近江(43・85)に次いで県内4番目の低さだった。
豊郷町は有権者数5715人・投票者数3601人で投票率63・01%、甲良町が同6074人・同3754人で同61・8%、多賀町が同6253人・同3807人で同60・88%。
彦根犬上選挙区全体の投票率は47・29%だった。なお県全体では46・54%。