彦根市馬場の滋賀大学附属史料館は春季展示として12日から、「屏風と書画から歴史を読む―琉球貿易図屏風を中心に―」を開いている。
琉球貿易図屏風(縦162・1㌢×横332・5㌢)は江戸時代後期に作られ、当時の琉球王国の景観や風俗がわかる作品。清国から琉球へ戻った進貢船や、清国との貿易を管理するため琉球を支配していた「唐物方」という旗を掲げた薩摩藩の船のほか、爬竜船(はりゅうせん)競漕や潟原(カタバル)での競馬、それらを見学する大勢の人々が描かれている。
同屏風は現在の那覇港周辺から中心市街地を経て、首里城へ至るエリアを記した絵で、同史料館の職員が現地で撮影した首里城や潟原、那覇港など8カ所の写真を並べながら当時の風景と比較している。また京都大学の協力を得て、同屏風の拡大図を鮮明に見られる超高細画像のデジタルシステムも設置しており、琉球王国の人々の服装や髪型などを見ることができる。
日野の近江商人・中井源左衛門家に伝来した和歌の短冊や色紙を貼り合わせた「中井良祐翁寿屏風」(縦170㌢×横372㌢)は、中井家初代当主・光武(1716~1805)が88歳と90歳の時に、日野の商人や中井家が経営上の拠点を置いていた仙台の人々から贈られた短冊や色紙。近江と東北との歴史的なつながりを示す貴重な史料で、中には光武の次男で二代目の光昌が書した「南山寿」の文字も。
安政3年(1856)に近江が描かれた絵図「湖水浦廻(うらめぐ)り 寺社・名所便覧図蹟(ずせき)」(91㌢×144・1㌢)は、堅田を中心に近江への旅行者を勧誘する目的で、京都や江戸で販売された。「金亀城」(彦根城)など近江八景をはじめとした近江の名所、旧跡が載っている。
開館は午前9時半~午後4時半、6月6日まで。休館は土日。