彦根市新海町の食料品店「のだそう」は今年で創立57年目を迎え、地元密着の店舗として愛されている。
野田惣次郎さん(83)が昭和32年10月に開業し、最初は行商だけだったが、3年目には店舗を設け、高度経済成長の波に乗って売り上げを順調に伸ばし、昭和43年には売り場を拡大して新築オープン。町外の市民からも好評を得ていた。バブル崩壊による景気の低迷と大型店の出店で縮小を余儀なくされたが、これまで地元の商店として貢献している。
4年ほど前に次男の耕(たがやす)さん(55)に経営を譲った。野田さんは「私なりに完全燃焼したつもり。お客さんあっての商売という初心を忘れずに、がんばってほしい」と励ます。耕さんも「地元の皆さまに必要な店と思われるよう、これからも続けたいと思います」と笑顔で話していた。
同店は野菜や果物、魚、パン、冷凍品、惣菜、菓子など多数の飲食品をそろえている。営業時間は午前8時から午後7時まで、月曜午前のみ休み。問い合わせは同店☎(43)2363。
児童文庫「自転舎」も
耕さんは「のだそう」に隣接する建物を児童文庫として改装し、平成8年8月に「自転舎(じてんしゃ)」と名付けてオープン。以来、子どもから大人までが集う交流の場として活用している。
建物は大正時代に建てられた木造2階建てで、1階と2階に耕さん所有の本をはじめ、これまでの寄付で総数は8000冊以上あり、マンガや絵本、児童書、小説、啓発本、文庫などがそろっている。
地元に限らず、誰でも借りることができる。耕さんは「買い物だけでなく、地域の人同士が顔を合わす場、憩いの場として活用していただければ」と話している。利用希望者は「のだそう」まで。