彦根市役所本庁舎の耐震化を巡って、大久保市長と市議会側が対立。市議会側は「直ちに耐震補強工事を求める」決議案を、きょう18日閉会の12月定例会に提出し、全会一致で可決した。
本庁舎は昭和47年に建築された建物で、完成から40年が経過し耐震化が必要な状況。市は前市長時代の平成24年度予算の中に設計費として1827万円を計上し、本庁舎耐震化整備事業推進本部を立ち上げて昨年10月から協議を行い、増築や改築など9つの案の中から県有地の一部(延べ2000~2500平方㍍)を含むエリアに5階建ての建物と立体駐車場を建設する方向で決定。工事期間中に活用するため、中央町の民間ビルを昨年末に購入し「中央町仮庁舎」としてすでに市の危機管理室が入っている。
しかし、▽建設費用が概算で約30億円かかる▽執務スペースが3割減る▽元々の建物のコンクリート寿命があと15年だとされる▽国体の主会場誘致による設備投資―などを理由に、大久保市長は就任後に白紙化を決意。8月に「県有地の購入を再考する」旨を県に伝え、9月には市議会にも説明。開会中の12月議会では「少し時間を頂き、来年4月に市民を加えた検討委員会で決めたい」と話していた。
本庁舎の耐震化計画の白紙化に対し、市議会一般質問や総務常任委員会では市議から「国体や(校園への)エアコンに関する事業よりも最優先すべき事案だ」「(人の)命が最も大事であり、一刻も早く着手するべきだ」「4月に検討委員会を立ち上げて、いつ決定するというのだ」などと、本庁舎の耐震化を早急に求める要求が相次いだ。
これに対し市長は「本庁舎の安全を確保するのは最優先の課題で、個人的には一刻も早く取りかかりたい」としながらも「現行案を含めてもう少しだけ時間を頂いた後にお示しできるようにしたい」との回答に終始だった。