滋賀経済同友会は3日、彦根城博物館の能舞台で秋季懇談例会を開き、シテ方観世流能楽師で人間国宝の大槻文藏さんを招いたトークセッションなどを催した。
例会には県内企業の経営者ら241人が参加。トークセッションは「伝承について考える」をテーマに行われ、大槻さんと滋賀経済同友会・代表幹事の山本昌仁さんが対談。
山本さんの「弟子や部下の育て方」の質問に、大槻さんは「能の世界にもプロとアマがある。例えば、能面はとても窮屈(きゅうくつ)だが、つけて歩けるようになってからが第一歩。そこから個性を教えており、つくり上げる個性が大事だ」と説明した。また文化の伝承について、大槻さんは「文化は一度途絶えると、次またおこすのが大変になる。どのようなことがあっても続けることが大事だ」と述べた。
トークセッション後、大槻さんは「はじめての能」と題して講演。「能は、面(仮面)をつけたり、うたい手がいたり、起承転結があるギリシア演劇と似ている点が多い。歌や踊りがあるお芝居ということから、室町(時代)ミュージカルだともいえる」と解説した。最後には大槻さんらシテ方、笛方、小鼓方、太鼓方の計8人が出演し、能の「羽衣」の後半部分を披露した。