1924年(大正13年)創設の滋賀大学講堂(彦根市馬場)=国登録有形文化財=の耐震化と改修工事に合わせて、建物を持ち上げるジャッキアップの開始セレモニーが17日に講堂前で行われた。
講堂は旧彦根高等商業学校時代に木造平屋(中二階)建て延べ902平方㍍で建築。小屋裏の排気塔がドーム型になっており、講堂としてのほか、大正時代の建物として映画やドラマのロケ地にも使われた。1937年(昭和12年)には米国の社会福祉活動家・ヘレンケラーの講演会で利用されるなど一般開放もされてきた。耐震不足により平成27年度以降は利用されていない。
建物の床下約1㍍の基礎部分のレンガ造りをコンクリート造りに変更するため、重機が建物内に入れるようにさらに1㍍持ち上げるジャッキアップを実施。開始セレモニーでは、位田隆一学長が「地域創生の観点から、改修後は一般の方にも利用していただきたい。講堂がよく見えるように建物前の樹木を除去した。観光コースの一つに入るようにもしたい」とあいさつした後、ジャッキアップ用の機械のボタンを押した。
10月中旬までにジャッキアップを完了させた後、レンガの撤去、地盤改良、コンクリート基礎の新設の耐震工事を年内に終える予定。その後、建物奥の小ホールを教育研究、企業との共同研究、学生が集うスペースに改修し、来年3月に完成させる計画。工事費は約3億円。