環境省選定の名水百選になっている彦根市西今町の「十王の水」(地元では十王村の水)が7日夜以降、出なくなっている。交通事故の影響でわき水をくみ上げる電源装置の損壊が原因だという。
十王の水は犬上川の伏流水で、江戸時代から五個荘の清水ケ鼻の水、醒井の水と共に湖東三名水の一つとして知られてきた。1985年に名水百選になったが、88年ごろからの周囲の大規模工事などで枯渇したため、地元住民らが「十王村の水保存会」を設立し、地下約70㍍からポンプで引き上げる方法で復活。市も電源装置を設置するなどの支援をしてきた。
彦根署によると、7日午後9時50分ごろに西今町南の交差点で自動車2台が出合い頭で衝突する事故が発生。その弾みで電源装置にぶつかったとみられ、事故以降、地下水が引き上げられなくなったという。
市は翌日朝に現場を確認。保存会の地元住民から「市民をはじめ、市外からわき水をくみに来る人も多くいる。水中にはコイもおり、早急に修理してほしい」と要請を受けた。担当課の職員は「物損事故が影響しているため、保険会社に早急な対処を要請している。連携をとって復旧に努めたい」としている。