彦根城の天守前広場に毎朝6時半から数十人の市民が集まり、ラジオ体操をしている。
一番乗りを目指し、本紙記者が午前6時過ぎに天守前広場を訪れた際、すでに市民2人の姿があった。そのうち河原2丁目の村川晃司さん(77)=写真=は25年ほど前から、傷病や旅行を除いてほぼ毎日参加。午前4時半に起床し、本町の宗安寺を参拝した後、午前5時半過ぎに登城し、ラジオ体操の前段階の柔軟体操をしているという。
村川さんは「朝からラジオ体操をすると気持ちがいい。琵琶湖の景色も毎日違いますよ」と笑顔を見せていた。村川さんによると、雨や雪が降る日は少ないものの、平均で30人ほどは参加しているという。記者が訪れた日も約30人の男女が集まり、天守前広場を囲む形になってラジオ体操の第1と第2をしていた。
参加者の最高齢は中央町の上田孝一さん(89)。70歳代後半から参加しており、「長生きするために登っています。気分が違いますし、『無』の境地にもなれます」と話していた。
最も若いのは本町1丁目の箕形とも子さん(55)。家族の介護のため3年前に仕事を退職したのを機に出席しており「仕事をしていた時は不規則な生活でしたが、ラジオ体操をするようになって1日のけじめがつき、朝ごはんもおいしい」と語っていた。
ラジオ体操を終え、村川さんと下山した午前7時前には表門橋前の内堀沿いを散歩していた中央町の大森修太郎さん(79)に出会った。
大森さんによると、41歳の時に友人と2人で携帯ラジオを持参し、天守前広場で始めたのが最初だといい、一時は「城歩(じょうぶ)会=丈夫にちなんで命名」という市民団体も結成され、市民の間に「天守前でのラジオ体操」の情報が広まったらしい。
村川さんによると、時期や天候によってはラジオ体操後に参加者同士で花見会や朝ごはん会もしているいい「普段はあまり人と話す機会がない高齢者同士が楽しく交流できる良い機会にもなっている」と参加を促していた。