庁舎耐震化の裏合意問題における責任の所在について、大久保市長の認識が市民の感覚とずれがあるため、これまでの経緯を再度整理しながら、責任の所在を明らかにしたい◆この問題の最大の焦点はどの市職員が主導し、地方自治法施行令の違反にあたる裏合意を施工業者と結んだかである◆市長の見解は、川嶋前副市長の指示を受けて前都市建設部長の山本氏が裏合意を結んだというものだ。先の臨時議会でも市長は「一部工事の取り止めなど仕様の変更を川嶋氏が指示した」と主張した◆しかし市議会が設置した百条委員会で、山本氏は地方自治法施行令違反にあたるとの認識を示した。一方で、川嶋氏は「契約内容そのものは変わらないと報告を受けていたため、最終的に了承したのは事実。今から思えば矛盾する話だった」と釈明。そのうえで、市が作成した報告書に対しては「作為的に作られている印象で腑に落ちない。あらかじめストーリーが描かれて、その流れから外れないよう作られたと疑念を抱いている」と、違法行為や裏合意への関与をきっぱり否定した◆百条委が作成した報告書でも、その責任の所在は曖昧だったものの「契約を進める時点で地方自治法施行令違反を理解していたのは山本前都市建設部長だけだった」などと記し、市の川嶋主導説にはふれなかった◆それにも関わらず、市は川嶋主導説に基づいた懲戒審査委員会の結果を尊重し、山本氏に対して最も軽い処分で幕引きを図った。また公表した処分理由の中では「川嶋氏の違法な命令に(山本氏が)従い、部下に違法な命令をした」とまで言い切った◆先の臨時議会でも獅山向洋市議や山内善男市議らが疑問を投げかけていたが、市長はあくまでも川嶋主導説に基づく持論を展開していた◆確かに真相はあいまいであるのは否定できないが、川嶋主導説を断定する形で幕引きを図ろうとする市の姿勢には、首を傾げざるを得ない。来週からの12月議会での議論を市民と共に継続して注目したい。【山田貴之】
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