彦根市は24日、市役所本庁舎の耐震工事の施工業者・岐建滋賀支店と、設計業者の水原建築設計事務所との契約を今後、解除し、今月20日に工事をストップしたと発表。契約解除の理由については「一定の区切りがついたため」としているが、今後は入札を再度行う必要があるなど、先行きは不透明だ。
市によると、当初の計画通りの工事のうち既存建物の1、2、4階への制震ブレースを設置する工事は終了。全体の30%ほどが完了しているため「一定の区切り」として、岐建などと契約解除の方向で調整する。
岐建には予定費用の31億6980万円(税込み)のうち約12億円を支払い済みだが、岐建がすでに材料を購入しているため上積みされる可能性もある。また一部工事の取り止めや別途工事など「裏合意」の9億4200万円分の工事は予定費用に含まれていないため、新たな設計費などを含め10億円以上の負担増になることも予想される。
市は水原建築設計と7月頃に、岐建と9月頃をめどに契約解除の正式な合意を図る考え。岐建とは精算問題を中心に民事調停などで調整する。以降は予算化を経て入札時期が11月頃になる予定だが、裏合意分の金額が予算に組み込まれた場合は議会の反発は必至だ。
市議からは「裏合意分が予算化された場合、賛成できるはずがない」「次の入札で岐建が落札したなら、絶対に賛成できないため、岐建を外すべきだ」との声がすでにあがっている。大久保貴市長は会見で「重い責任があると把握しており、時期を見ながら市議会に提案していきたい」と述べた。
完成1年の遅れ
庁舎耐震化の増築分の工事現場から汚染土壌が確認された問題で、市は24日、追加の調査が必要になったため、耐震工事の完了時期が当初予定の来年3月から1年間遅れると発表した。
庁舎には元々、印刷局彦根工場が建っていて、市の調査でガソリンなどが貯蔵されていたことがわかり、市は追加調査が必要と判断。6月から7月にかけて土壌調査、9月までに汚染土壌の対応と補正予算の議会上程、10月から年内に汚染土壌を除去していく計画。
庁舎耐震工事の完了が遅れることで、アルプラザ彦根内の仮庁舎の使用期限が延伸されることなるため、市は今後、平和堂と調整していく。