「海賊とよばれた男」で本屋大賞を受賞した百田尚樹さんが6日、文化プラザで「日本の再生と発展・戦後復興を支えた先人たちの熱き志」をテーマに講演した。
百田さんは、同著の主人公のモデルでもある出光興産の創業者・出光佐三さんについて、ポツダム宣言を受諾した昭和20年8月15日の2日後、海外資産を没収された出光さんが社員をクビにしなかったことや個人資産を社員に配っていたことなどを紹介。
また同社の大型タンカー・日章丸が昭和28年(1953)3月に、イギリスによって海上封鎖されていたイランへ極秘裏に出向き、ガソリンなどを積んで帰国した、いわゆる「日章丸事件」を説明。「ほかの同業者が外資系と提携する中で、出光興産は提携しなかった。この事件は産油国と直接交渉できることを広めるきっかけにもなった」と述べた。
百田さんは「昭和20年代を戦い抜いたのは大正期の男たち。資源や食料が無い中で、日本を世界第二の経済大国にするまで、どれほど働いたか」「この時代の男は他人のために生きた世代。その象徴が出光さんであり、我々のDNAにも引き継がれていることを知って欲しい」と、利他のために生きることを求めた。
百田さんの講演は彦根青年会議所の創立60周年記念事業の中で行われ、約1000人が来場した。