彦根市の山根裕子副市長(72)の任期が3月31日までとなっており、大久保貴市長が26日に開会する市議会2月定例会などで、どのような判断をするのかが焦点になる。関係者によると、山根氏を彦根城の世界遺産登録を主に担う顧問にし、当分の間、副市長の席を空白にする案が浮上しているという。
市は2月定例会に、副市長の定数をこれまでの2から1に減らす条例改正案を提案する。これは市役所本庁舎の裏取引の問題で川嶋恒紹氏が副市長を引責辞任したことに伴う措置とみられる。川嶋氏は庁舎耐震化をはじめ、広域ごみ処理施設の候補地選定など市の主要業務の全般を担っていたため、一部の関係者の間では市長が行政経験豊かな人材を探しているとの情報があるが、裏取引の問題で市政が混迷しているため、「火中の栗を拾う」人材を見つけるのは容易ではない。
一方で、山根副市長は国連教育文化科学専門機関(ユネスコ)の職員を務めた経験があることから、市政では彦根城の世界遺産を主に担当。平成28年4月に設置し、今年1月に独立した組織になったシティプロモーション推進室は世界遺産の登録を推進させる総合調整を担う部署として、山根副市長が肝いりで設置したとされる。来年度予算には世界遺産の学術会議を市内で開催する費用も盛り込まれており、世界遺産の実現に向けて市長が山根副市長を続投させるとの見方もできる。
副市長の人事案件について、市長は公に話していない。関係者によると「熟考している」と語っているというが、山根氏を副市長から特別顧問に配置転換し、市政の混迷が落ち着いた頃に新たな副市長を就任させたい意向があるとの情報がある。
山根氏を副市長で続投させるのか、特別顧問にして副市長席を当分空席にするのか、新たな人材を副市長に就かせるのか、2月定例会では市役所庁舎耐震化を盛り込んだ新年度予算の行方と合わせて、副市長の人事の行方も注目される。