近江鉄道が鉄道部門の経営を単独で続けるのが困難だとして、沿線の5市5町に対応策を求めていることがわかった。
同社によると、鉄道部門は平成6年度に赤字に転落して以降、23年連続で赤字経営が続いており、昨年度は過去30年で最悪の3億1800万円の営業損益を計上した。
営業収益自体はここ10年ほど微増傾向にある一方、レールや車両の修理など設備投資が増えており、昨年度の営業費用は過去30年で最多の14億7600万円となっている。同社は設備投資の費用を今後10年で現在の1・5倍になると予想。すでに同社単独での経営再建は困難と判断し、昨年6月から沿線自治体に説明している。同社執行役員の小端努さんは「鉄道がこの地域の中で必要かをみんなで考え、存続に向けた方策を講じてほしい」と話している。
1㌔あたりの1日の利用人数を指す昨年度の輸送密度は、八日市~近江八幡が4639人と最多で、彦根~高宮の2906人、高宮~八日市の1509人と続き、7路線で平均が1865人だが、米原~彦根が693人、高宮~多賀大社前が583人と1000人以下の区間もある。
今後は輸送密度の低い区間のバスへの転換や、鉄道部門を第三セクターなどが保有する公有民営方式など対策を考える必要があり、5市5町と近江鉄道による早急な調整が求められる。
彦根市交通対策課の担当者は「財政的な負担の問題などがあり、今後、どのようにするのかはまだ検討もつかないが、鉄道をやめてもらったら困るというのは5市5町の共通認識だと思う」と話している。