市民団体・彦根りんごを復活する会は、7月に行う彦根りんご復活200年祭の開催費用を募るクラウドファンディング(※)を開始。支援者には彦根りんごや木などの返礼品も用意している。
彦根りんごは江戸末期から昭和初期にかけて彦根で栽培されていた和りんご。文化13年(1816)に、江戸付きの彦根藩士・石居泰次郎が帰郷した際、りんごの苗木200本を植え農園を開いたのが始まりとされる。明治・大正期も複数の農家が現在の彦根西高校周辺でりんご園を経営していたが、西洋りんごの普及により、昭和30年ごろに滋賀県護國神社(尾末町)付近にあった最後の一本が枯れて以降、彦根りんごは途絶えたとされる。
平成15年5月に市民有志によって彦根りんごを復活する会が結成。全国に残っている和りんごや野生種の農園や研究所を訪れるなどして、彦根りんごに近い加賀藩種の枝を接ぎ木して増やしてきた。平成18年11月には中藪町の市有地約1900平方㍍を借り受けて農園を整備。「平成」、「文化」、「芹川」の3種の彦根りんごの苗木を育ててきた。同20年に初めて実をつけて以降、毎年夏に地域の子どもたちを集めて収穫祭をしている。
復活する会では江戸時代に農園が整備されてから今年で200年が経過するのに合わせて、彦根りんごを全国に発信していこうと7月21日に市内で200年祭を企画。これまでの活動報告、全国11カ所の和りんご仲間によるサミット、交流会、記念植樹などを行う。
クラウドファンディングは5000円コースと1万円コースを設定。支援者には200年祭への入場券、盆のお供え用として彦根りんごの実6個入りのパッケージ、彦根りんごの本を届けるほか、1万円の支援者には彦根りんごの木(1年木)も渡す。
復活する会の尾本正和さんは「200年祭への参加を広く募ると共に、今シーズン収穫する彦根りんごを贈ることで、広く知って頂く機会にもしたい。皆さまからの応援をお願いしたい」としている。クラウドファンディングの彦根りんごのサイトはFAAVO滋賀のサイトから。アドレスは(https://faavo.jp/shiga/project/1993)。7月上旬まで募集。
※クラウドファンディング=プロジェクトやアイデアを持つ起案者が専用のインターネットサイトに概要や寄付を募る理由などを掲載し、共感した閲覧者から広く資金を集める仕組み。