次期市長の任期中は大規模事業が相次いで実施または進捗する予定で、市の財政面の負担が懸念され、各事業の見直しが必要な状況だ。
まず市役所庁舎耐震化関連はすでに整備が始まっており、平成29年度、30年度で計約36億円が支出される。国体関連費としては、主会場整備に伴って移転する新しい彦根市民体育センターには約60億円(業者は54億円とも)、再整備される金亀公園には24億3000万円とする概算が公表されている。
このほか、図書館整備においては河瀬・亀山学区に中央館を新築し、現在の市立図書館を北部館として改築、稲枝地区に南部館を整備、新しい市民体育センター内に図書機能を持つサービスポイントを設置する計画がある。これらの総経費はまだ未定だが、数十億円に上ることが予想される。
さらに彦愛犬1市4町で建設候補地を選定中の広域ごみ処理施設は、平成20年度時の概算で102億円の数値が公表されている。
上記以外にも、渋滞緩和のための道路整備、稲枝駅西口開発、彦根駅東口整備などさまざまな事業が予定されており、相次ぐ大規模事業を計画通りの規模で進めれば、市の財政状況の悪化が予想される。
市は今年1月に公表した平成29年度から33年度までの彦根市中期財政計画において、社会保障関連費や公債費、建設関連(庁舎耐震、国体のインフラ整備、新市民体育センター整備)の投資的経費が増加することで「財源の不足が見込まれる」とし、この財源不足に対しては「約50億円(平成27年度末)ある財政調整基金などの基金の取り崩しなどで収支の均衡を図る」と説明。その上で「限りある財源を効果的に配分し、将来の財政負担に備えた財政運営が必要」としている。
しかし基金の取り崩しはもちろん、国や県の補助金頼りで、これらの大規模事業をそのまま進めることは、市の財政が悪化するのは必然である。一般財源のうち借金の返済にあてる割合・実質公債費比率は平成27年度決算時で8%だが、10年前ごろの20%台に悪化することなきよう、各事業規模の縮小または見直しが求められる。【山田貴之】