近江鉄道で昭和38年から約20年間走っていた赤色を基調にした電車「赤電」が、創立120周年を記念し復刻され、16日に彦根駅で出発式があった。
赤電は赤色とべージュに塗り分けられた電車モハ1形の通称で、親会社の西武鉄道では昭和35年ごろから約30年間走っていた。近江鉄道でも長年活躍し、当時は赤色がイメージカラーだった。しかし昭和58年に橙(だいだい)色の車両モハ500形が登場して以降、廃車が進んでいった。
平成12年に鉄道愛好家が集い、最後のモハ1形の「モハ2」と「クハ1222」の2両編成に塗装を行い、翌年10月のガチャコンまつりに「赤電」としてお披露目されたが、同14年3月31日に除籍となり、全廃した。
近江鉄道は創立120周年の記念企画として、既存の車両をツートンカラー塗装し「赤電」に復刻。16日から約1年間運行することにした。
出発式にはJRの社員時代に車掌でもあった三日月大造知事のほか、鉄道愛好家や近江鉄道の社員ら計約100人が参加。喜多村樹美男社長は「復刻された電車を見ると感無量。地域の皆さんのご愛顧のお陰です」と述べた。三日月知事は「厳しい環境の中で120年間続けてこられたことに敬意を表したい」とあいさつした。
その後、喜多村社長と三日月知事によるテープカット、近江鉄道のほほえみ園の園児2人のくす玉割りが行われ、三日月知事の「出発進行」の合図で赤電は米原方面に出発していった。赤電の運行状況の問い合わせは同社鉄道部☎(22)3303。