彦根市と多賀町が連携し観光客の宿泊者数の増加策を協議する「彦根・多賀地域連携組織委員会」の最初の会合が26日、彦根商工会議所であった。
人口減少の抑制と経済の活性化を目指し、これまでよりワンランク上の観光施策にするため、彦根商議所は昨年末、市を通じて内閣府の地域創生加速化交付金「光とアートで発信する付加価値創造事業」を申請。今年3月1日に採択された。
事業の主な内容は▽ライティングデザイナー監修による彦根城や多賀大社・門前町のライトアップ▽世界のクリエイターから募集してのライティングコンテスト▽今昔・和洋を融合させたコンサートやパフォーマンスイベントなどで、いずれも近江鉄道を活用した彦根・多賀の観光周遊ルートを開発する。予算は彦根が約4818万円、多賀が約3367万円。
同委員会の会長には彦根商議所の小出英樹会頭が就任し、副会長には大久保貴市長と久保久良町長が就いた。今後、5月の連休明けに彦根と多賀で実行委員会を立ち上げて、ライトアップと文化イベントの各部会を設けて協議。玄宮園のライトアップなど恒例行事とタイアップしながら9月以降、各イベントを実施していく。
同事業を経ての今年度終了時の指標として、彦根商議所は観光消費額を190億円(平成26年時139億8800万円)、延べ宿泊客数を33万7500人(同31万2200人)にしたい考え。小出会長は「彦根と多賀が地域連携を深めて、官民一帯となって宿泊客を増やしていきたい。ほかの市町との連携も検討していく」と語った。
また観光地づくりを進める法人(通称DMO)の認可を受け、近江インバウンド推進協議会から生まれ変わる形で4月1日に設立された「近江ツーリズムボード」も同事業に関わる。ライトアップのほか、「食」の開発と情報発信、茶道・座禅・そば作りなど体験型観光、国内外への直接的なプロモーションなどを進める。
※(解説)全国各地の大半の観光地では宿泊客をいかに増やすかが「悩みの種」になっている。彦根や周辺市町でも長年の課題だが、ようやく明るい兆しが見えつつあると感じている。
ライトアップや文化イベントはこれまでにも開催されてきたが、いずれも「一過性」に終わった感は拭えない。しかし、今事業は専門性と芸術性に加え、民間主導に着眼点を置いており、興味深い。
確かに記者会見でも「一過性」を指摘する意見があったが、近年の彦根の観光をある程度知る小生としては期待感の方が勝っている。是非とも英知を出し合って「全国で話題の」と呼ばれる恒例イベントになり、名実共に観光のまち彦根になってほしいと願う今日この頃だ。 (山田)