24日の衆院補選は北海道5区で自民候補が野党統一候補を破った。一方で京都3区は与党候補が出馬しない中で行われ、民進党候補が当選したが、投票率は戦後最低の30・12%と棄権者が目立った。
この2つの選挙で注目すべきは与党候補と野党統一候補の対決だった北海道5区の方である。夏の参院選では1人区を中心に自民・公明の与党に対抗する形で、民進・共産らが「野党共闘」と銘打った協力体制をとる。滋賀選挙区も24日、民進・共産・社民の3党が共産候補を取り下げて民進候補に絞ることで合意。▽安全保障関連法の廃止を実現する▽集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回させ、立憲主義の回復を目指す▽安倍政権の打倒を目指す―などの確認書に調印した。
しかし、この「野党共闘」を分析した場合、矛盾点が幾つか出てくる。まず1点目として、民進党には保守的な考えを持った議員がおり、前原誠司氏や細野豪志氏らは革新色が強い共産・社民との連携には否定的な考えだ。憲法、TPP、原発、消費増税、対米対中路線など国の基本的政策にも相違がある。
次に2点目として、共産党は共産主義社会の実現を目指している政党であり、民進党は民主主義、資本主義を支持する政党であるということだ。民進党滋賀県連の代表で滋賀2区選出の田島一成衆院議員は「大きな目的を達成するために、違いを超えて野党の力を結集し、頑張っていきたい」と述べたとのことだが、政党や政治家の礎に位置する思想性を無視した姑息な姿勢は批判の的になるであろう。
その結果が北海道5区であり、北海道民は冷静に「野党共闘」の矛盾点を見極めたと言える。さて滋賀県民は、はたしてその矛盾を見極めることができるのか、参院選での注目点でもある。【山田貴之】