文化財課は佐和山城跡の国指定の史跡を目指し、平成23年度から佐和山城跡の発掘調査を実施しており、これまでに城下や西の丸を調査。今年度は破城された状況を確認するため、初めて本丸の石垣部分を発掘した。
発掘により、石垣は上部(約幅1・5㍍×長さ6~7㍍)と下部(幅約1・5㍍×長さ約3・8㍍)の2段構造だったことが判明。また▽石垣の裏込め部分とみられる大量の石▽本丸跡の直下で削られた岩盤▽石垣を崩した後に本丸部分にあった土砂を使って石垣があった部分を埋めた形跡―が確認された。土砂の堆積状況は最も深い部分で約2・8㍍にも達しており、徹底的に破城する意図があったとみられる。
滋賀県立大学人間文化学部の中井均教授は「九州・四国地方で寛永時代の城割りで徹底的に破壊された事例はあるが、関西で、しかも慶長・元和年間でこれほど徹底した事例はない」とした上で「彦根城築城で石材などが運び出された後、それまでの象徴だった佐和山城が崩され、政権が豊臣(石田)から徳川(井伊)に代わった見せしめだったのであろう」とコメントしている。
現地説明会は午前10時~正午に本丸跡で順次行われる。雨天決行。山登りのできる服装で。問い合わせは文化財課☎(26)5833。