東京芸術大学在学中に彦根への移住を決め、卒業後に芹川町に移り住んでいる女性がいる。京都アートスクール彦根駅前校非常勤講師の武田まりんさん(25)だ。武田さんに彦根にひかれた理由やまちの魅力などを聞いた。
武田さんは鹿児島県奄美大島生まれ。父親の仕事の都合で幼少期は関東地方で過ごし、小学5年生からは東京都東村山市で生活。小学生のころから絵を描くのが得意で、都立高校に進学後は美術の予備校に通い、2浪の末に東京芸大に入学し、美術学部絵画科日本画専攻で学問に励んだ。
一方で、小学校の時から図工・美術のほか、歴史も好きだった。中学の歴史の授業では、ハンセン病の患者だった戦国武将・大谷吉継が口をつけた碗に入った茶を石田三成がそのまま飲んだ逸話を知り、三成ファンに。高校時代にはゲーム・戦国無双にはまり、「佐和山がある彦根に訪れたい」との気持ちが増していった。
武田さんが高校生のころは、ちょうど歴女ブームが始まった時期。「名実ともに」歴女になった平成24年11月の大学3年のころには、東京芸大の宿泊施設がある奈良市内に泊まりながら2週間、奈良や京都のまちを巡る「古美術研究旅行」に参加。その中で自由時間になった1日を利用して、彦根を一人で初めて訪問し、彦根城や玄宮園などを歩き回った。その時のボランティアガイドや道を教えてくれた書店の女性店員らがとても親切で「彦根には良い人しかいないのでは」と思った。
2度目の訪問は平成25年11月。彦根市内のホテルに宿泊すると戦国グッズの特典が受けられる「三成パック」を友人と2人で活用。その時に佐和山城跡やほかのゆかりの地を回り、「彦根に訪れたい」から「いつかは彦根に住もう」との思いに変わった。
以降もインターネットなどで滋賀県について検索すると、彦根以外にも長浜や坂本、甲賀、近江八幡など歴史あるまちがあることを知り、大学の卒業制作を終えたその年の12月には彦根移住を決意。昨年2月に再び友人と彦根を観光して以降も何度か来彦し、6月から芹川町のアパートに住み始めた。
今年5月にはひこねお城大使にも就任。「彦根にはいいものがいっぱいある。私のように『彦根に住みたい』と思う人が増えるよう、これからも魅力を伝えていきたい」と話していた。(聞き手・山田貴之)