彦根城博物館は20日からテーマ展「湖東焼への憧憬―湖東焼と近現代のやきもの―」を開く。
湖東焼は文政12年(1829)に、古着商を営んでいた絹屋半兵衛が彦根で始めた焼き物。天保13年(1842)に彦根藩が窯を召し上げて、十三代・井伊直弼の時代に黄金期を迎えたが、桜田門外の変後は縮小。文久2年(1862)には民間へ移行した。
明治時代になると、湖東焼復興の動きが起こり、明治2年(1869)6月に彦根藩知事となった井伊直憲は同年9月、円山(市内南東部の芹川沿い)に窯を築き、京都から陶工の明石屋初太郎や元職人を招き、作陶を始めた。この焼き物は後に円山湖東焼と呼ばれる。
また長浜の医師・西村善吾は明治3年に自宅に窯を築いて元職人らに焼き物を作らせ、後に長浜湖東焼と呼ばれた。しかし、円山湖東焼は明治4年の廃藩置県で廃窯となり、長浜湖東焼も資金難などで同6年に廃窯となった。
大正9年には彦根で陶器商を営んでいた奥村松平が彦根城内(現在の開国記念館の北西)に窯を築き、昭和の初めごろまで製作。「湖東」の銘も入れられ、まからずや焼と呼ばれた。
テーマ展では絵付け師・自然斎が作った「山水人物図蓋物」や、明治2年の晩秋に作られた円山湖東焼「桜閣山水図筒花生」、長浜湖東焼の「花円文飯茶碗」、多賀大社の延命長寿のご利益を表したまからずや焼「延命長寿文蓋物」など33点を展示する。
開館は午前8時半~午後4時半、7月22日まで。ギャラリートークは今月21日午後2時~。