彦根市中央町の神野レディースクリニックは30日から、医療機関としては県内初の特別養子縁組の仲介事業を始める。
子の誕生を望まずに出産した実母と、不妊治療をしても子どもができない夫婦の仲介に立ち、新生児を養親となる夫婦に引き渡す役割を務める。仲介役としては、県内に県彦根子ども家庭相談センターなど行政の施設はあるが、医療機関としては全国20施設による「あんしん母と子の産婦人科連絡協議会」内で4施設目となり、近畿でも初めてだという。
児童虐待が社会問題化しているほか、市によると、今年度中に乳児院などに一時保護されている1歳未満の子は市内で2人(入所は1人)いる。また同クリニックで不妊治療をしている夫婦は年々、増えているという。同クリニックは、実の親からの同意(虐待の場合は同意不要)後、その子どもを院内で保護。養親となる夫婦については、院内に設置した特別養子縁組審議委員会で審査・面接をした後、この事業を平成元年から取り組んでいる同協議会本部のさめじまボンディングクリニック(埼玉県熊谷市)での二次面接を経て、正式登録となる。
神野佳樹院長(57)は「育てられない親や子ができない夫婦、両方の思いを身にしみて感じており、さめじまクリニックさんの取り組みを彦根でも行うことにした」と話している。
実の親や養親となる夫婦からの謝礼や寄付金は受け取らずに、医療の一環としてボランティアで行う。
院内に設置のホットラインは☎0120(038)414。