彦根市は、今年4月1日からのひこにゃんの運営を含む彦根城と彦根城博物館の管理業務の委託先が近畿日本ツーリスト関西(大阪市)に決まったと発表した。今月中にも契約を締結し、締結日から3月31日まで運営準備期間として近ツーの社員が業務につく。
彦根城は昭和19年(1943年)以降、市が管理している。地方公務員法の改正に伴って彦根城などの運営費が増加する見込みのため、彦根城で働く臨時職員の人件費などのコスト削減と民間ノウハウを活用した入山者の増加を目的に民間委託を決定。
昨年10月以降、企画提案後に選定していくプロポーザル方式で公募し、応募のあった3団体が提出した書類などを、市内部3人と学識者ら外部4人の審査会が彦根城の17項目、彦根城博物館の7項目について一人合計200点で審査。その結果、1400点満点のうち近ツーが次点に10点差の1051点で1位となった。
市が昨年9月議会時に示した来年度から3年間の上限の見込み額は、人件費や運営費、誘客対策費、自主事業費、ひこにゃん経費、ほかの関連経費で彦根城が8億6006万円、彦根城博物館が7170万円。
彦根の団体は3位
「ワンチーム」ならず
彦根の2団体で組織した「コンソーシアム彦根」は957点で3位だった。その一員でひこにゃんを運営している日本ご当地キャラクター協会(彦根市大薮町)代表理事の荒川深冊さん(49)は「彦根の観光を一つにして、地元の人間による『ワンチーム』で盛り上げようとしましたが、やはり大手企業のプレゼン力には勝てなかったようで」と残念がった。
市は民間委託により、90万人の入山者数を目指すとしている。近年では彦根城築城400年祭があった平成19年(2007年)が84万9056人だったが、イベントがない年は昨年度が72万2916人など70万人台で推移しており、近ツーが目標達成に向けてどのような戦略を立てるのかが注目される。