彦根市役所本庁舎の耐震工事を巡り市と施工業者の裏合意を究明する市議会の6回目の調査特別委員会(百条委員会)が22日、鳥居本地区公民館であり、9月議会に提出する報告書についての議論が行われたが、裏合意が誰の主導で行われたのかなどの真相を明らかにすることはできなかった。
岐建の当初の見積額と市の予定価格の差額が約10億円あったため、一部の市職員と岐建滋賀支店の間で別途工事や仕様変更などの裏合意が行われていたことが判明。入札時の条件の変更が地方自治法施行令違反にあたる可能性があるため、市議会は市制初の百条委員会を設置し、4月9日に第1回の会議を開催。以降の会議では岐建側と交渉した前都市建設部長の山本茂春氏や、前副市長の川嶋恒紹氏、大久保貴市長、岐建滋賀支店長を証人尋問した。
報告書では、百条委の調査で明らかになった点として▽入札不調から仮契約締結まで一部の職員だけで断片的かつ抽象的な情報のやり取りに終始した▽予定価格は市の工事担当課で積算された金額で市長はじめ関係職員が疑わなかった▽随意契約を進める時点で地方自治法施行令違反を理解していたのは山本前部長だけだった―などを列記。
百条委からの提言として「証人尋問で証言に差異が生じたことは執行部の連携体制に不安を感じる。本件のような方針転換を伴う公務執行については強度のチェックが必要」「関係部署間、市長、副市長との情報共有を図る体制の確立など市長のガバナンス(統治)機能を強化し、安定した市政運営に取り組むこと」などをあげている。
また市職員と岐建滋賀支店との間での金銭の授受、市長の裏合意への関与などの「疑惑」については「それを特定する事実はなかった」と結論づけた。
この日の会議では委員から、前回の百条委で一部市職員が市の報告書を作成する中で、前副市長の山根裕子氏の関与があったと証言した点を報告書に盛り込むよう要請があったが、結局「委員会の反省点」の項目に入れることで確認。百条委を終了することも了承された。
委員長の西川正義議員は「証人の証言内容にかい離があり、真相を見いだすことはできず、その調査も難しかった」と反省を述べていた。今後は百条委として正式な報告書を作成し、9月議会に提出する運び。
汚染土壌除去費を可決
彦根市議会の8月臨時会が21日あり、市役所本庁舎の耐震工事現場にある汚染土壌の除去費(1億3933万円)を盛り込んだ一般会計補正予算案が賛成多数で可決された。主な経費は、汚染土壌の運搬や残土処分など土壌の処理費9767万円や現場管理費1493万円など。市は9月から10月にかけて業者の選定と近隣自治会への説明会を行い、11月から来年1月にかけて汚染土壌を除去する。