先週の彦根市議会では大久保貴市長への辞職勧告決議案が提出。否決されたが、レームダックに陥ったままの現市政に対する市議会と市民の厳しい目は今後も続く。
決議案に対しては提出者の奥野嘉己議員をはじめ、獅山向洋、谷口典隆、辻真理子、北川元気、山内善男、山田多津子の計7議員が賛成した。いずれも少数会派または無所属の議員で、現市政に対して厳しい姿勢をとっている。
なぜ決議案が提出されるに至ったのかは、市議会やマスコミなど近くにいる人間は毎日のように「肌身」に感じているため理解できるが、市民のためにこれまでの経緯を簡単に紹介したい。
まず市役所本庁舎耐震化を巡る問題だが、これは大久保市長が就任した直後に、それまで決定していた耐震化計画を白紙化したことから始まる。だが結局は市議会の反発で、パフォーマンスに終わり、白紙化前の計画に落ち着いた。がしかし、その計画にも市職員と施工業者との裏合意が発覚し、副市長が辞任したのは記憶に新しい。そして市制初の百条委員会が設置され、施工業者との契約解除や汚染土壌で庁舎耐震化の完成は先延ばしされている。
2番目は彦愛犬の新しい広域ごみ処理施設の建設候補地を巡ってだが、彦根市の当初の方針は「原町」で、地元団体と契約した文書も発覚した。しかし管理組合の管理者会で会長を務める大久保市長が急きょ方針を転換し、当時の副市長が辞任寸前まで至った。その選考過程には不透明な点が多々あり、市長の説明も不足していることから、先週の市議会でも候補地の白紙撤回を求める決議案を可決している。
ほかにも、昨年の市長選前と発表内容が異なり、市財政の危機を明らかにした市中期財政計画、JR河瀬駅前交番の警官殺害事件の情報伝達を巡る誤った発表等々、次から次へと出てくる問題を前にする度に、市長としての資質を疑わざるをえないのは小生だけではない。
先の辞職勧告決議案には市長野党の公政会や公明党が反対した。その理由は「百条委員会の推移を見て判断しても遅くない」との趣旨だった。前回の百条委以上の情報が今後、出てくることは考えにくく、また市長が辞職に値するのは裏合意の問題だけではなく、「総合的な資質」が挙げられるため、百条委の推移だけでは理由にならない。公政会としては、最大会派としてのメンツを保つため、少数会派らによる決議案に賛成するわけにもいかなかったのだろう。今後は公政会がいつ辞職勧告決議案や不信任案等を提出するかが焦点になる。 【山田貴之】