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玄宮園内にある料理旅館の八景亭が今月30日に廃業

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 玄宮園内にある料理旅館の八景亭が今月30日に廃業になる。明治時代から続いてきた店舗が無くなることに市民からは惜しむ声があがっている。
 八景亭は「玄宮園十勝」と呼ばれる園内の10カ所の名所のうち、井伊直弼らが茶席に利用していた臨池(りんち)閣の場所にある。茅葺きの数寄屋(すきや)建築で、臨池閣に増築した構造になっており、床面積約547平方㍍のうち半分以上が増築分。現在、茶席になっている鳳翔(ほうしょう)台も八景亭として利用されていたが、昭和40年代後半の火災後に市の所有になった。建物の創設期は不明だが、現店主の竹中清登(たか)さん(67)によると、曽祖父が経営していた明治・大正期は魚屋などを営み、八景亭と名付けられたのは祖父時代の昭和9年だという。
 店主の竹中さんは、インテリアデザイナーを辞めて28歳の時に帰郷し、料理の修業を経て三代目の店主に就任。以降、八景亭を守り続けてきたが、昨年2月に脳出血で倒れ、包丁が握れなくなった。また建物の老朽化もあり、廃業を決意した。
 竹中さんは75歳で店を閉じようと思っていたとした上で「何年か早かったが、いい時期だと思っている。寂しい気持ちはない」と話していた。会食などで利用していた市内の男性(54)は「八景亭は大名気分にひたることができる場所だった。無くなるのは非常に残念です」と語っていた。
 廃業後は市が管理することになり、市教委文化財課の担当者は「臨池閣(八景亭)は大規模修理の時期にある。調査した上で(増築部分の解体など)江戸時代の元の風景に戻すことを含めて検討していく」としている。
 店は休業中だが、今月5日に再開する。すでに廃業を知った人たちからの予約が入っており、4畳半、6畳半、13畳、20畳の部屋のうち、大部屋を中心に予約がとりにくい状態。18、19日のみ休み。問い合わせは八景亭☎(22)3117。

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