長曽根について記した江戸時代を中心にした古文書が約1100点残っているほか、明治、大正時代の歴史を伝え聞いてきた住民もいることから、長曽根町内では平成27年3月に長曽根歴史勉強会を立ち上げて、古文書などを解読する作業と、長曽根の暮らしを絵に残す取り組みを企画。町内の高齢者約15人に聞き取り調査をしたり、滋賀県立大学の上田洋平助教から「ふるさと絵屏風」作りを習うなどして、昨年6月から絵を描き始めた。
住民有志5人と住民の知人で絵描き経験がある臼井美保さん(39)=大阪府茨木市=が、毎週2回ほどのペースで長曽根町民会館に集まって作業。横270㌢×縦165㌢の画用紙に、かつて建っていたオーミケンシや鐘紡の彦根工場、戦前に戦闘機を作る工場があったため米軍のB29の空襲と日本の零戦が飛び立つ様子、長曽根出身との説がある江戸時代初期の刀工・長曽祢虎鉄(こてつ)が使ったと伝わる井戸、彦根城の外堀や周辺の寺社などを四季ごとに描いているほか、町内に建っている約60戸すべての家をそのままの形で表している。江戸時代の絵図のコピーなど一部は切り貼りもしている。
4月末までに原画を完成させ、スキャナーでデータ化し、印刷した後、額装仕立てをして、町民会館に展示する予定。長曽根歴史勉強会会長の北村恭弘さん(69)は「長曽根にはさまざまな歴史が残っており、言葉だけではなかなか後世に伝わらない。絵として残していきたい」と話していた。